ヒトの腸管内では多種・多様な細菌が絶えず増殖を続けています。これらは腸内細菌と呼ばれ、この微生物群集を「腸内フローラ」または「腸内細菌叢」と呼んでいます。
フローラ(Flora)は分類学の用語で植物群集を指しますが、かつては細菌が植物の中に分類されていたためです。また、ギリシア神話の花の女神をも意味しています。
腸内細菌の数はおよそ100兆個、その種類は一人あたり数百種にのぼり、その構成は食習慣や年齢などによって一人ひとり異なっています。
この腸内フローラは、ヒトに対して様々な生理作用を有しています。
有用な作用として、病原菌の定着阻害、免疫系の活性化、ビタミンの産生などが挙げられ、有害な作用として、腐敗産物や発がん物質の産生、各種腸疾患へ関与が挙げられ、腸内フローラはヒトの健康と密接な関係があります。
ヒトに有用な働きをする菌を優勢に、ヒトに有害な働きをする菌を劣勢に保つことが、私たちの健康管理の上で大切であると言えるでしょう。